1週間500球の球数制限下で、1人の投手で甲子園に行けるか(東東京の場合)

以前から議論になっていた球数制限についてですが、来春のセンバツから、1週間500球の制限が課せられることになったそうです。私は球数制限に諸手を挙げて賛成というわけでは決してないけれどこのご時世、現場で采配を振るう監督に全てを委ねるのは、時に選手にとって、時に監督にとって、良くないあるいは辛い結果を招きかねないと思うので、何らかのルール作りは避けられないかな…と考えています。強制ルールにするのなら、とてもタイトな日程のところもあると聞くので都道府県大会を含めた大会日程の見直しもして欲しいし、微々たるものかもしれないけど申告敬遠も導入すべきだろうし、甲子園のベンチ入り人数もせめて20名まで増やして欲しいとか、改善して欲しいことはいろいいろありますが。

 

1週間500球という数字は、それほど厳しいものではないように思いましたが、具体的なスケジュールに当て嵌めるとどうなるか?が気になったので、今夏の東東京大会を例に、投手1人が投げた場合の球数累計(1試合の球数130球と仮置き、7日前以前の球数は含めない)を計算してみました。ちなみに、130というのはきちんとしたデータの裏付けはなく、これまでスコアつけて来た経験上まあこれくらいかな?という感覚的なものなので、この試算もまあどんぶりです。

 

<ケース1>

1回戦 7/7  130

2回戦 7/10   260 

3回戦 7/14      260

4回戦 7/17   260 

5回戦 7/19   390 

準々決勝7/21      390

準決勝 7/25   390

決勝  7/27     390

※抽選番号2・3のチームのスケジュール。どの1週間で切っても3試合以内なのでまあまあ余裕があり、1試合150球でも制限内に収まる。

 

<ケース2>

1回戦 7/7  130

2回戦 7/10   260

3回戦 7/15   260 

4回戦 7/17   260 

5回戦 7/19   390  

準々決勝7/21   520

準決勝 7/25   390

決勝  7/27   390

※抽選番号98・99のチームの日程。3回戦~準々決勝の日程がタイトなので制限オーバー。ただ20球の差なので、打たせてとって球数を減らすとか、どこかでコールド勝ちをしてイニング数を減らすとかで乗り切ることも不可能ではない。

 

来年度は東京オリンピックの関係で日程がだいぶ変わるでしょうからわかりませんが、通常スケジュールなら、球数的にはエース1人で上位進出、あるいは甲子園出場も可能な範疇に入りそうです。

しかし、ここでもうひとつ、雨天順延という人知ではどうにもならない要素が影響してきます。今夏は7月中旬くらいまで例年にない天候不順で、HPのトーナメント表の櫓は日程修正の嵐。最後は使える色がなくなって困ったんじゃないかと思うくらいカラフルになってました。

で、( )内の変更後の日程で累計を計算してみると…

 

<ケース1>

1回戦 7/7  130

2回戦 7/10   260 

3回戦 7/14(16)  260

4回戦 7/17(18)  260 

5回戦 7/19(20)  390 

準々決勝7/21        520

準決勝 7/25   390

決勝  7/27        390

<ケース2>

1回戦 7/7(12) 130

2回戦 7/10(13)  260

3回戦 7/15        390 

4回戦 7/17(18)  520 

5回戦 7/19(20)  390  

準々決勝7/21         520

準決勝 7/25    390

決勝  7/27         390

 

やはり日程がタイトになった分、球数制限に引っ掛かりそうな局面が増え、投手1人体制で勝ち上がるハードルはまた少し高くなりますが、やり方次第では絶対ムリということもなさそう。

 

 

というわけで、やはり1週間500球という制限は、投手層の薄いチームにもかなり配慮された数字のように思います。

とはいえ、勝ち進んでいけば相手も強くなるし、そうそういつもうまく収まるはずもなく、途中で球数切れになる恐れはある。そうならないようにするためには、どこかで控え投手が投げて主戦の球数に余裕を持たせる必要がある。要はリスクを後ろに先送りするかどこか途中の、自分で決めたところで取るかということだけど…

いずれにしろ、負わなきゃならないリスクを下げるためには選手個人やチームとしての実力の向上が必要だろうし、リスクに直面し、結果として負けてしまった場合の受け止め方、心構え的なものも変えていく必要があるのではないかという気がします。最善を尽くしたという点では同じでも、精一杯力尽きるまでやって負けたんだから仕方がない、というのとは少しニュアンスが違うというか

試行期間の3年間の間に高野連としてはデータ取ってルールを練り直し、コンセンサスを得ていくことになるのでしょうが、各チームにとっては大会での投手運用を学び、更には球数制限を前提としたチームづくりを模索していく期間になるのかもしれません。