一番長い夏(追記あり)

夏の最後の日。第106回全国高等学校野球選手権大会決勝戦。

大方の予想通り、京都国際はエース中崎君、関東一は畠中君先発からの終盤坂井君への継投。打たれはするけどこっちはなかなか中崎君を打てず、終始押され気味だった関一が何度もピンチをしのいだ末にようやく迎えた9回裏の好機を阻まれると、試合は決勝初のタイブレークに。

10回表。京都国際ピッチャーの西村君を代打に送り、坂井君はボール2とカウントを悪くしたところで西村君のヒッティング成功で無死満塁となり、次打者に四球を与えて押し出し。ついに1点を失い、なおも無死満塁が続く。

ここで関一は大後君をマウンドに送り、大後君はなおも続く大量失点のピンチを犠牲フライの1点のみで凌ぎ、2点差で裏の攻撃に望みをつなぐ。

ここは…凄い凄いの連続だったこの試合の中で、私が一番すごいと感じた場面でした。ノーアウト満塁という余裕ゼロの場面ですから、交代は怖い。マウンドにいるのは7回からリリーフしたエースなわけで、「エースに賭ける」という判断の方がむしろ普通というか、心理的負荷の少ない選択だと思う。

でも関一ベンチはそうせず、大後君に託す方が勝てる確率が高いと判断して交代を選択した。もちろん続投だったら坂井君がその後を抑えて1点差で裏に回れた可能性もあるし、大後君が抑えられずに3点目4点目を取られていた可能性もある。でもその可能性の高い低いを比較考量して決断した、運任せにしなかったところ、そして大後君がまたもや厳しい場面で役割を果たしてくれたことが凄いと思ったし、嬉しかった。

【追記】

と思ってたら、この記事を見るとタイブレークでの坂井君続投自体が迷った結果なのですと。やっぱり素人があれこれ言うには奥深過ぎる…

hochi.news

とはいえ、タイブレークであっても1イニング2点差は重い数字、しかも相手は今大会無失点の西村君。バント処理エラーで表と同じ無死満塁に持ち込んだものの、内野ゴロの間の1点のみに抑えられ、1-2で試合終了。

全国制覇にあと一歩及ばず、しかし過去最高のベスト4(2015年)を更新する準優勝という結果で、関東一の夏が終わりました。

 

 

現地で見たそれぞれの試合についてもいろいろ書きたいこと、考えたいことはたくさんあるけど…今感じていることはふたつ。

 

高校生って短期間でこんなにも成長する、変われるものなんだ、って改めて驚いた。何を今さら…と言われるかもしれないけど、歴代でも夏甲子園で勝ち進んだチームは何やかや言って東東京大会初戦の段階で強さは見せてましたからね。初戦で絶望的な気分にさせられたことはさすがにない。文字通り一戦一戦強くなって、甲子園に来てからも強くなった。どんどんチームが研ぎ澄まされていくのが嬉しく頼もしく、少し怖くさえあった。こんなすごい夏を見せてもらえるとは思ってなかった。本当にありがとう。

そして、今回優勝にあと一歩届かなかったのはたぶん、これがゴールじゃない、関一はもっと強くなれる、っていう野球の神様(がいるとしたら)のメッセージなんだと思う。今はまだ「その時」じゃない、という…いつか「その時」を掴めるように、これからも応援してます。ガンバレ関一!

 

最後になりますが京都国際初優勝おめでとうございます。強かった…関一と似たところもあるけど、打撃をはじめ多くの面で関一を上回っていた。そして、素晴らしい試合をありがとう。