ダイヤモンドに目が眩み…(「実録!関東昭和軍」)

現実の79回大会出場校は東京1枠のみ、という結果になってしまいましたが、さて、こちらは…

秋季都大会ベスト4、準優勝チーム三高(言っておきますが日本大学第三高等学校ではない)との練習試合にも敗れた不利な立場ながら、選抜の東京二枠目に望みを託し、OBは裏工作に、現役は猛練習に、ひたすら励む関東昭和野球部。

今週(第25話)はなんと、監督・尾宮貫一の過去が明かにされます。

父の激励と母の涙に送られて、チンピラ二中から関東昭和に出陣入学した貫一。時は昭和40年代、平成の今を遥かに凌ぐシゴキと暴力で、減量中のボクサー(うう、ロクさんかよ……(涙))のような振る舞いも日常茶飯事な地獄の日々。しかし1年の秋季大会で先輩たちのチームが優勝し、選抜初出場を果たしてしまったのが運のつき。貫一自身はまだベンチ外、スタンドで見守るだけでしたが、甲子園の魔力にとりつかれ、以後死に物狂いで甲子園出場を目指すことになる。しかし全国の壁は厚く、第55回選手権の都大会6回戦(このときはまだ、東西に分かれていなかった模様)が最高成績。その後大学でもノンプロでも目だった成績を残せず引退、母校のコーチに就任するも、甲子園出場すら果たせずに現在に至る。

私生活では監督に昇格して程なく、40前で家庭を得、一男四女をなす(でも毎年毎年律儀に作りすぎだよカントク…)が、数年前に妻子に逃げられ、今は正月になっても帰る家もない有様。

50年の人生の大半を野球に捧げながら、栄光からは見放され、美談からも程遠い。頑張っても頑張っても(シゴいてもシゴいても)目指す全国の舞台は霞の彼方。それでも頂点に立つ夢をあきらめられず、甲子園の栄光にしがみつく妄執。清くも正しくも美しくも、もちろんカッコ良くもないその姿は滑稽としか言いようがないはずなんだけど、どこか胸を突く切なさがある。何度挫折を重ねても、青春の日に見た甲子園の輝きを忘れられず、「降りる」ことのできない馬鹿っぷり……どうか、いつの日か報われますように。

それにしても「東都二部4年間優勝なし」の東都はまんま「東都」でいいのか?それともやっぱ、正式名称は「東京都会リーグ」とかなのかしらん。