「ストレートラーメン」てまさか、素ラーメン??(「ラストイニング」)

一足先に甲子園出場を決めてしまった(まだまだ予断は許しませんが(笑))関東昭和軍に対し、こちらは夏の埼玉県大会の序盤戦。初戦ではミニポッポこと仲町率いるさいたま新都心高校を、先行されながらも逆転コールドで下した彩珠学院高校(サイガク)。

次なる相手は名門・春日野大栄。この漫画の現時点でのラスボスは桐生監督率いる聖母学苑なわけですが、春日野大栄は鳩ヶ谷が鶴ヶ島審判を殴った「あの試合」の対戦相手(しかもこの年は結局大栄が甲子園に行くこととなった)であり、サイガクの現エース・日高にも(一応は)声をかけたこともある。それなりに因縁のあるチーム。ようやく前面に出てきました。

で、この名門・大栄、OBであり甲子園に何度も導いた名監督でもあった熊谷が春季大会の初戦敗退の責任を取らされる形で更迭され、物静かな好青年監督が跡を引き継ぎ、熊谷の鉄拳制裁も辞さないスパルタから、選手の自主性最重要視・父母会に対してもオープンに…と180度方針転換。鳩ヶ谷シンパのルポライター蕨(しかしこの人、ルポで食っていけるほど儲かっているのであろうか。心配だ。)はその変貌ぶりを訝り、大栄の情報を探るため、熊谷と鳩ヶ谷をひそかに引き合わせる。熊谷は鳩ヶ谷の名を覚えていた。ボールと判定された最後の一球を、敵チーム監督である彼もストライクだったと考えていたのだった。

大栄を首になった熊谷は夫婦で経営する中華料理屋(その名も野球軒!)も女房に任せ切り、昼間から酒びたりで、口を開けば昔は良かったとグチばかり。一歩間違えれば不良の集団にしかならない鼻っ柱の強い山猿連中と真正面からやり合ってきた熊谷には、野球への情熱よりも将来のことばかり考える計算高い選手が増えてきたことも、そういった風潮に迎合するような学校の方針も、耐え難いものだった。耳を傾ける鳩ヶ谷たちに熊谷は、サイガクを破って甲子園に出た頃からおかしくなった、甲子園になど行くものじゃない、とまで言い放つのだが…

一時代を築きながらも時流に取り残され、学校からは疎まれ、変質してしまった選手たちに失望したまま、監督の座を追われた熊谷。店内に貼りだされたイマイチ美味しくなさそうな野球メニューの数々(「ストレートラーメン」だの「コールドセット」だの「スパイク丼」だの^^;)からも、不器用な野球バカっぷりが伝わって来る(ついでに言うと、高校時代の同級生でもあるおかみさんも、こんな状況下でも明るい、よく出来た女性です)。

仲町に任せ切りのワンマンチームだった新都心が、サイガクとの一戦で新たな一歩を踏み出したように、酒びたりで失意の日々を送る熊谷が再びグラウンドに戻ってくることはあるのだろうか?熊谷とは何もかも正反対の新監督が率いる現在の大栄は、果たしてどんなチームになったのか?そして試合は…?乞う御期待!!

うーん、この地味な面白さ、何に喩えればいいのだろう。強さも弱さも、情熱の有無も、金のかけ方も、周囲の環境も、すべて千差万別のチームがぶつかり合い、関わる人々の幾多の思惑が錯綜する中、容赦なく大会が進んでいくこの感じ。ひょっとして、高校野球の地方大会序盤戦そのものの面白さに似ているかもしれません。

それにしても、大栄のユニ、ローマ字のロゴとかもう、共栄にクリソツ^^;)カラーで登場したことはないはずなので、色は何色か知らないけど、さすが名前モデルということか。