プレイボール2 第1話 第3の投手

ついに、始まってしまいました。ちばあきお「原案」・コージィ城倉作「プレーボール2」。今号からグランドジャンプに新連載です。

「キャプテン」「プレイボール」は私が初めて夢中になった漫画であり、それから四半世紀を経て、現実の高校野球ファンになるきっかけとなった作品です。どんな展開になるかわかりませんが、これから注目していきたいと思います。

 

【あらすじ】

荒川河川敷のグラウンド。井口が中学時代の後輩たちの押し掛けバッティングピッチャーをやっているところに、OBの田所がトラックで通りかかり、いつまでも軟球を投げているんじゃない、とたしなめられる。野球部OBというだけでなく、井口を墨高にスカウトした縁もある田所だが、墨高での野球に今ひとつ真剣になっていない感のある井口にもどかしさを感じつつ、その場を後にする。

 

田所が向かった先は谷口家。田所のトラックが到着する丁度その頃、谷口は勉強机に向かって熱心に…夏の東東京大会(注1)に向けたチーム作りの計画を練っていた。

中でも頭が痛いのは投手陣。谷口、松川に続く第3の投手をどうするか?中学で全国制覇に導いたイガラシを使うべきか?しかし墨谷の守備力攻撃力の甘さを埋めるためにはイガラシを野手として育てたい…悩む谷口。

 

田所がトラックで運んで来たのは新式の二層式洗濯機。ガタが来ていたので買い替えたのだ(注2)。

洗濯機を設置し終えて谷口の部屋にやって来た田所は、井口は使い物になるかと聞くが、谷口は井口はまだ荒く、硬球に慣れていないと答える。田所が井口に感じた意識の低さは、谷口も感じているのだった。

気を悪くした様子もなく、辞去しようとする田所だが、谷口父ちゃんから、映りの悪くなったダイヤル式TVもちょっと見てくれと頼まれる。田所があちこちいじって映るようになったTVから、丁度その時流れてきたのはピンクレディの新曲「サウスポー」(注3)。聴き入るうちに、サウスポーの必要性に思い当たる谷口。

 

翌日の墨高グラウンド。ライトからダイレクト返球で強肩を見せつける井口だが、ベースからは大きく外れ、サードのイガラシから注意されても勿論堪えてはいない。

同じ頃、谷口は倉橋に、サウスポーの井口を投手陣に組み入れたいという相談をしていた。しかし倉橋は反対し、井口は荒すぎ、イガラシを第3の投手として鍛えるべきだと主張する。井口を第4の投手にすることさえ、練習試合の機会が限られていることを理由に反対だと言われ、黙り込む谷口。

再びグラウンド。井口は自分の強肩を恃んで中継に入る丸井を無視してダイレクト返球をするが、当然大きく逸れてしまい、怒った丸井は井口に滔々と説教を始めるが、勿論井口はまともに聞いちゃいない。キレる丸井。「オメーはドヘタクソなの!」

そこに谷口と倉橋が現れ、井口をブルペンに呼ぶ。そして、イガラシも。

不審がる2人に、谷口と倉橋は、どちらかを第3の投手にするためのテストをする、と言い放つのだった…

 

(注1)プレイボールの作中では東西東京に分かれている描写はないが、実際には1973年(昭和48年)にプレイボールが連載開始されたその翌年、昭和49年の第56回大会から東西に分かれている。荒川下流の墨田区にあると推定される墨高は、東西の地域分けで言えば当然東東京ということになる。

(注2)田所が初めて谷口家を訪れた時点(学年末の通知表で成績が下がった、と谷口母ちゃんが言っており、田所は実家の手伝いで働き始めているのでおそらく谷口高1の春休み)で、既にガタが来ていたようで、谷口母ちゃんは田所からパンフレットを貰っているが、結局それから1年間は、古いのを騙し騙し使っていたことになる。

(注3)1978年(昭和53年)リリースということなので、プレイボール2の時代設定は1978年ということになる(ちなみに、この年の東東京大会の優勝は当時はまだ東東京だった早実、準優勝は帝京であった。帝京の初優勝はその5年後、そしてその時の準優勝が関東一である。)。なお、時間軸的にはほぼ同時期にあたる、「キャプテン」近藤編の春のセンバツ(この世界では新年度になって暫くしてから開催されている模様)では、球場に向かうバスの中で「UFO」(1977年リリース)を皆で合唱していた。バスの中で皆で歌えるということは、リリースからある程度時間が経過していると考えられるので、整合性の取れた考証と言えるだろう。

 

【感想】

まずはこんな楽しみをくれたコージィに感謝。若い頃ならもっと違う気持ちになったかもしれないけど、「プレイボールの続き」はずっと夢見てきたものだし(できることなら自分が書きたかったってのはあるけど)、ここは違うあそこは違う、と文句を垂れるのも、楽しみの一つでもある、どうしても耐えられないときは黒歴史として封印する、ということだってできるし、と思えるトシになりましたしね。

絵柄や時代背景などはかなり雰囲気を捉えていて流石と思いました。登場人物やストーリー展開については、まだ自分のモノになっていないような感じ(田所や谷口父ちゃん母ちゃんとかはイイ感じだけど)。それでいて時折コージィ的あざとさもチラリと覗くので何かもぞもぞざわざわしますが、非常に続きが気になることは間違いない。次回が待たれます。が…

 

谷口や倉橋は今更そんなことで議論するのはおかしくないか?1年では井口と片瀬にのみピッチング練習をさせていたことを忘れてんのか?(まあ、30年以上ブランクがあったから、忘れても仕方ないのかもしれないがw)片瀬君の立場ないじゃん。

それにしても、イガラシの描き方が全般的にちょっと薄いのが気になるなあ…気のせいだといいのだけど、何と言っても私はイガラシファンですので。

 

【追記】

第4話であまりの違和感に雑誌を買うのをやめ、その後も違和感は解消されることがなかったので連載を読むこともやめ、コミックスも買っていません。おそらくコージィ城倉はちばあきお描くところの谷口やイガラシは理解できないというか、絵空事のように感じて共感できないんだと思う。私からすればそこが一番の魅力なのですが。『意見の違い』に過ぎないって言われるかもしれないけど、コージィの旧作キャラの解釈と表現は間違っていると思うし、間違いの程度と方向性は私の受忍限度を超えている。

というわけで、このブログで取り上げるのも4話で終わりです。