プレイボール2 第3話 丸井対井口

 

 

【あらすじ】

いきなり丸井と井口で勝負しろと言い出した谷口。たしなめる倉橋に谷口は、自分も井口の態度は良くないと思っている、周りを舐めてかかっている井口の鼻っ柱を丸井にへし折ってもらいたい、などと言う。その口ぶりに何事かを感じ取った倉橋は、丸井対井口の勝負に同意する。

条件は井口がストライクを10球投げ、丸井に3本ヒットを打たれたら打率3割で井口の負け。ストライクが入らなければ何球でも投げさせる、というもの。

ストライク・ボールの判定はかなり辛く、苦労する井口。ようやくストライクを取るも、その後は立てつづけにヒット2本。あと1本打たれたら負けというところ、脇で見ていたイガラシの声が飛ぶ。「ボールを置きに行ってるぞ!」

置きにいかないとストライクが入らないが、置きにいくと打ち頃になる。3か月で使い物にするのは難しい――井口の球を受けながら、背後で審判役を務める谷口につぶやく倉橋。

一方、マウンド上の井口は、縫い目を指先でひっかくなど、投げるコツを意識しながら投げはじめ、空振りや凡打が取れるようになる。3本目が打てないまま勝負が終わりに近づき、焦る丸井は身を縮めたり伸びたりと揺さぶりをかけ、置きにきた10球目はセンター後方へ…やられた!と思う井口だったがセンターの島田のファインプレーによりアウト、「10-2」で勝負は終わる。

最後のはヒットで10-3、自分の負けだと自ら認める井口だったが、谷口は10-2でも10-3でもどうでもよく、10-0でなかったら井口の負けだと言い出す。驚く井口、そして丸井。

10打数で3本ヒットなら3割だが、10ストライクで3本なら打者不利な条件なのだと種明かしする谷口は更に、井口が変化球を使おうとしなかったことも指摘する。ストライクを入れるのに汲々としていて直球以外は考えられなかったのだ、と。

丸井との勝負についても、それ自体はどうでもよく、真剣勝負になったとき、井口の指がいかに硬球を扱えるか見るのが目的だったというのだ。

そして谷口は井口に対して投手の頭数に入れない、夏の大会まで野手の練習をしてくれと冷たく言い放ち、意見が対立していたはずの倉橋に対してはお前の言う通りだったとと自分の非を認めるのだった。井口はもちろん丸井も、そして倉橋でさえ、戸惑いを隠せなかった。

 

【感想】

ええとまず…何スか、こ、このブラック谷口は…!!ここは声を大にして言いたいが、谷口くんはそないな男やあらへんでえ!!いや谷口に限らず、詭弁を弄してやり込めたり、他人を掌の上で踊らせて悦に入ったりとかはしないのよ、「キャプテン」「プレイボール」の世界の人間たちは。コージィはちばあきおではないし、真逆な所すらあるから仕方ないけど、最後の方の谷口なんて目つきまで完全に底意地の悪い悪人ヅラになってる(泣)

まあさすがにこれは井口を奮起させ、倉橋や丸井には井口への態度を軟化させる双方へのショック療法みたいなもの…なんだろうと思いますが。それにしてもやり口が姑息だし、冒頭の倉橋とのやり取りも、きちんと真意を明かさず口先で言いくるめようとする辺りがいかにも真摯さに欠け、「自分だけがエライ」感が漂う。コージィ漫画としてはそれもいいんですけどね。

しかし島田はさすがの守備。捕球からのゴロゴロもあったし(笑)一方でいつの間にか右利きになってるファースト加藤は(汗)

イガラシが井口にアドバイスしてくれた一言も良かった♪これくらいで喜ばねばならないのが悲しくもあるけど、あの後は一応ノーヒットで抑えてるしな。こんなに不完全な状態なのに、ストレートだけで丸井を抑える井口の潜在能力もやはり大したものです。

問題の10球ストライク勝負については、私はてっきり10球続けてストライクを投げろということだと思っていたのですが、ボール球は何球投げてもいいのね。

有利・不利を考えると、確かに10打数3安打といえば単純計算して最低30のストライクで3ヒット打てばよいから、10ストライクで3ヒットは確かに打者不利に見えるし、ボール球がノーカンとなるとピッチャーとしては四死球を恐れる必要はなく、この点でもピッチャー有利か。ファウルの扱いはどうだったのかはわからないけど、ファウルも許されないなら更にピッチャー有利ですね。倉橋は井口任せでリードはしてなかったようだけど、バックはちゃんと守ってくれてたし。

それを考えれば、10-0じゃなかったらピッチャーの負けってのも全くおかしいとも言い切れないのかもしれない。ここでストライクを投げなきゃ負け、って局面がないわけだから…とはいえ、当初提示した条件をクリアしたのに後出しで「実は…」というのは理不尽過ぎるけどな。

 

【今後の予想】

第3の投手はイガラシになるが、この一件で井口の意識も変わる。また、10ストライク勝負で後半は丸井を抑えきったこと、最後のセンターファインプレイで実質負けだと自ら認めたことで、丸井や倉橋の井口を見る目も少し変化していたが、谷口は勝負のときの言葉のとおり、井口に野手の練習しかさせない。本当にこれで良かったのか…チーム内に迷いが生じる。しかしその間にも井口はイガラシの協力で、投手として夏の戦力となるべく、陰の努力を続けていた。すべてを知る谷口は、その様子を物陰からこっそりと見守るのだった…

 

【追記】

第4話であまりの違和感に雑誌を買うのをやめ、その後も違和感は解消されることがなかったので連載を読むこともやめ、コミックスも買っていません。おそらくコージィ城倉はちばあきお描くところの谷口やイガラシは理解できないというか、絵空事のように感じて共感できないんだと思う。私からすればそこが一番の魅力なのですが。『意見の違い』に過ぎないって言われるかもしれないけど、コージィの旧作キャラの解釈と表現は間違っていると思うし、間違いの程度と方向性は私の受忍限度を超えている。

というわけで、このブログで取り上げるのも4話で終わりです。