8月、東京ドームの2日間~関東一×修徳、関東一×二松学舎~

初の東京ドーム開催となった東・西東京大会の準決勝・決勝。東京ドーム開催そのものについても後で書きたいと思いますが、まずは、ここで終わった関一の夏について。

 

1 20210801 準決勝 関東一×修徳

5回戦で日大豊山、準々決勝で小山台を、共に息詰まる投手戦の末、サヨナラホームランで降して勝ち上がってきた修徳との一戦。しかもサヨナラHR打ったのが豊山戦は絶対的エースで3番の床枝君、小山台戦は2年生4番の佐藤君とか…マンガかよ!と言いたくなる凄い展開です。床枝君は本格派の長身右腕でバッティングも良く中軸を打っていて、まさに投打の柱。2010年の三ツ俣君を思い出す。

関一の方は、5回戦の岩倉戦、準々決勝の芝戦、苦しい局面もありましたが、共にコールド勝ちで準決勝に進んでいる。先発のエース市川君は準々決勝での出番はなく、中5日での登板。

久しぶりに吹奏楽とチアも来てくれている!ありがとう!高野連と東京ドームが許可してくれたということは、感染対策は相当しっかりしたものだと思いますが、十分気をつけて…

1回表。ドームのマウンドに立った市川君の立ち上がりは、2三振を含む三者凡退に抑える上々の立ち上がり。やたらどよどよどよっと観客席がどよめくのは、かなりの球速が出ているらしい(距離があるのと目が悪いのとでスコアボードが滲んでよく見えない。帰ってから確認すると152とか出てた球もあるらしい。誤計測かもしれないけど、その後も140中盤~後半は出ていたので、多少のドーム盛りはあるにしてもかなり速くなってるみたい(現地では遠くてイマイチわからなかったけど、帰って録画で見ると確かに凄い球投げてる!)。

1回裏。先頭の初谷君がセカンドへの内野安打で出ると、すかさず2番五十嵐君が揺さぶって四球をもぎとり、ノーアウト1・2塁。3番初谷君は初球でバッテリーエラーがあり1塁が空いたこともあってか、避けられたっぽい感じの四球で西部警察に乗って1塁へ歩き、ノーアウト満塁となってバッターボックスには4番の石見君。しかし石見君は変化球に合わず空振りの三振、続く津原君はショートゴロダブルプレーで絶好のチャンスを逃す。うーん…終わったことは仕方がない、またチャンスは来るから守りに集中!は間違いなく正解なのですが、もしかするとこれも、翌日の優勝旗の行方に無関係ではなかったのかもしれない、と今振り返ると思います。ここで床枝君の立ち上がりをついて崩せていれば、少なくとも1,2点取れていれば…(もちろんその場合、3回の攻撃も違っていたでしょうが)

大チャンスを逃した後、しかも4番の佐藤君からということで、しっかり守りたい2回表。佐藤君はほれぼれするような豪快なスイングでしたが三球三振にとり、後続も四球を一つ出しただけで無失点に抑える。

2回裏、3回表と両投手が三者凡退に抑え、0-0で迎えた3回裏。1死から1番染谷君がレフト前ヒットで出ると(染谷君はキューティハニーだな)、五十嵐君がセーフティ気味のバントでしたが1塁はアウトで2死2塁。3番初谷君はまたも四球で、1・2塁となったところで4番の石見君。前の打席では三振だった石見君ですがここではボール球を我慢して見逃しフルカウントからセンター前タイムリーを放ち、1点を先制します。そして、続く津原君は初球の高めの球をレフトスタンドに3ランホームラン!この回一挙4点。初回のことが頭にあっただけに、心底ほっとする。

しかしまだまだ油断はできない4回表。2死から4番佐藤君が放った高い打球はそのままレフトスタンドへ…こちらも初球でした。やはり怖いバッターです。おまけに秋以降も残る2年だし。しかし市川君もHRで動揺することなく、後続は三振に取り、試合は中盤から後半へ。

ところがこの後は両投手の好投の前に、双方得点を奪えずスコアボードにゼロが並びます。特に関一は5回以降毎回ランナーを(うち5,6、8回はノーアウトから)出しながらランナーを進めることが難しくなり、突き放すことができない。

そして迎えた9回表。修徳の打順は2番の鈴木悠君から。てことは床枝君や佐藤君に回るわけで、何としても抑えたい。2人ランナー出て佐藤君が同点3ランとかなったりしたら……しかし鈴木君はレフトフライでホッとする。

続く床枝君も怖い当たりでしたがセンターフライ、佐藤君もショートゴロに打ち取り4-1のまま関東一が3回の4点を守り切って勝利、決勝進出を決めました。

 

両投手の力投、好ゲームの余韻に浸りながらも、市川君の完投120球と床枝君から6安打で得点も3回の4点だけだったことが気にかかり、心は晴れない。第2試合の帝京×二松はおそらく両チーム継投になるだろうからだ。特に、ドラフト候補の好左腕・秋山君が決勝に来たら…?

 【試合スコア】

 

修 徳 000 100 000  1 H3E0  

関東一 004 000 000  4 H6E1

修 徳:床枝ー若松

関東一:市川ー石見

 

2 20210802 決勝 関東一×二松学舎

先攻は二松学舎。市川君と秋山君、両エースが先発。前日の準決勝では市川君は9回完投、秋山君もリリーフで5回と1/3を投げている。

1回表。1番永見君はセカンドゴロ。送球がやや逸れてヒヤッとしますが津原君が上手く掴んで1アウト。2番親富祖君は1・2塁間を抜くヒットで1死1塁となりますが、この強く低い打球を見たとき、何とも言えないイヤな予感が胸を過る。続く瀬谷君はセカンドゴロ、ちょうど走ってきた1塁ランナーをタッチアウトにしますが1塁送球はまにあわずランナーが残る。しかし4番関君の打席で離塁が大きかった1塁ランナーを挟殺、無失点でしのぐ。

1回裏。1死から五十嵐君がストレートの四球で出ますが後続はなく無得点…なのは仕方ないとして、この秋山君の投球は…(汗)相当球が走ってる感じで、ファウルの打球はバックネット方向にばかり飛び、アウトはフライか三振。

2回表は4番の関君から。2ストライクと追い込んだところからセンター抜けるヒット、送りバントで1死2塁とされてから、6番秋山君に初球を狙われ、センター前で1点を先制される。ここまで送りバントのときを含めてボール球が1つもなくて、ちょっと余裕なく急いでしまったかな…それ以上にイヤだったのが初回の親富祖君のライト前もだけど、低く地を滑るように内野を抜いていった2本のセンター前の打球の速さ。

その後もバッテリーエラーで2塁に進まれたりしますが後続は連続三振に打ち取り、1点でしのぐ。

何とか食い下がり、攻撃の糸口を見つけたい関一打線でしたが、二巡目…6回まではほぼすべてがフライアウトか三振。昨日の準決勝の帝京のバッターが「フライダメ、ライナーライナー!」と繰り返しコーチャーに言われながらも次々とフライを打ち上げていたのを思い出す。凄い伸びてるんだろうなあ…横から見てるのでハッキリ見えないけど、インコースに相当食い込んでいるらしく、思わず腰が引ける場面もしばしば。

守っては連投の疲れもあるのでしょう、昨日ほど球が走ってない感じの市川君が苦しみながらも踏ん張り、3回4回はランナーを出しながらも無失点、5回6回は好守に助けられながら三者凡退に抑える。

しかし7回表。先頭の5番浅野君に死球を与えると、6番秋山君のセカンドへの強烈な打球を立花君がはじいてセンター前に抜け、1塁ランナーは3塁へ。7番丸山君のファーストゴロでは3塁ランナーを還らせず1アウトを取りますが、8番鎌田君の犠牲フライで1点を追加され、9番櫻井君のレフトフェンス直撃の2ベース、1番永見君のセンター前と続けざまに痛打されて更に2点、4-0と大きく引き離されます。

7回裏。2番の五十嵐君に代打が送られ、鎌倉君がバッターボックスに。今日の五十嵐君は四球で唯一出塁していますが、4回に飛球を追ってフェンスにぶつかってかなり痛そうだったり、7回表の永見君のセンター前のときの動きもらしくなかったので、それもあっての交代だったのかもしれません。しかし鎌倉君は1-2からの4球目を迷いなく振ってセンター前ヒット!ようやく初めてのヒット…なかなか打てなくて控えに回ることが多かった鎌倉君が…この土壇場で…

さらに初谷君のセカンドゴロで2塁までいきますが後続は倒れ無得点。でもまだあと2回ある。

しかし8回表も四球で出した先頭打者を送りバントと内野ゴロで3塁に進められ、6番秋山君との勝負を避けて申告敬遠で1・3塁。7番丸山君と勝負しますが叩きつけた打球は2塁ベース付近へ…立花君もよく追いつきましたが送球は間に合わず、内野安打となって更に1点を追加り、5-0とされる。

8回裏。6番石見君から。石見君は初球打ってサードへのゴロ、当たりが良くなかったのも幸い、サードの送球エラーもあってノーアウト2塁。続く滝川君には秋葉君が代打を送られますがファーストフライで進塁できず。そしてバッターボックスには今日は8番の市川君。本来はバッティングも良い市川君ですが今大会はまだノーヒット。

しかしここで市川君は本来のバッティングを見せ、1-2と追い込まれながらレフトオーバーの2ベースを放ち、ようやく1点を還し、なおも1死2塁。

立花君がライトフライに倒れ2死となった後、バッテリーエラーで2死3塁となったところで染谷君はファースト方向への鋭い当たりを放ちますがファーストの関君が好捕し1点止まり。

9回表はついに市川君が降板、鈴木君がマウンドへ。市川君はライトに回ります。関一のエースが外野に回るのは確か、2013年夏の準決勝、二松戦以来のことになる。あの時も中村君が打ち込まれ、敗色濃くなった終盤だった…

マウンドを引き継いだ鈴木君は落ち着いたピッチングで難なく2アウトをとり、2番の親富祖君にライトオーバーの2ベースを打たれますが(この人も凄い5打数3安打。他のも良い当たりだったし。まだ2年なのがまた困る…)後続は打ち取り無失点。5-1のまま9回裏へ。

しかし9回裏、先頭の鎌倉君が見逃しの三振、続く初谷君は捉えた当たりだったとは思いますがピッチャーゴロ、そして4番津原君が空振りの三振に倒れ、試合終了。

二松学舎大附属が甲子園出場を決め、関東一は昨夏の独自大会に続き東東京大会準優勝に終わりました。

 

完敗でした。市川君の連投という要素がなくても、秋山君をあれだけ打てなければ、ギリギリ接戦に持ち込めるかどうかというところだったと思いますし、連戦になる準決決勝の投手起用もチームの総合力の一部なのだ。

二松学舎はおめでとうございます。秋山君は凄すぎるピッチングだったし、守備もスキがなかった。打線は振りが鋭く、恐かった。甲子園で暴れてきてください。

 

そして関一。昨秋はスタメンも毎回変わるような定まりきらない一方で、投手はほぼ市川君のみで戦ってベスト4、強くなる可能性は十分あると思いながらも、このチームは一体どうなっていくんだろう?と思ってたのが春には東京王者の菅生にリベンジを果たし、春関でも逆転に次ぐ逆転で準優勝、延期されていた都大会決勝も三高に完封勝利し5年ぶりの都大会優勝。夏もコールドの連続に修徳との投手戦…驚くほどの戦いぶりを見せてくれて嬉しかった。

1年のときから出ていた市川君初谷君は勿論、染谷君の積極的なバッティングや五十嵐君のセーフティ(百発百中とはいかないけど)、石見君の復活、立花君の気合(プレーもね!)、楠原君の選手宣誓や芝戦で膠着状態の突破口を開いた2ベース、滝川君津原君のアベック満塁HR(ていうのか?)、やられそうでやられない、鈴木君のハラハラドキドキのピッチング等々……守備走塁打撃の上手さとか強さという点では十分ではなかったかもしれないけど、見ていて楽しかったです。本当にありがとう。

3年生はゆっくり休んで、新しい目標に向かってください。成井君や秋葉君、スタンドで見守っていた皆も、下級生は決勝での悔しさを忘れず、センバツ目指して頑張ってください。そして来夏こそは、二松を倒して甲子園へ!!応援してます。

 

2013年の準決勝のことに触れるため改めて読み返しましたが、やはり展開が酷似していた…二松の好左腕に抑え込まれ、本格派右腕のエースが打ち込まれて降板。このときは中村君の不調もあってコールド負けでしたが。近年の東東京大会での上位進出は関一の方が多いのですが、直接対決では4連敗。相性もあるかもしれないし、関一が負けにくいチームづくりをしていることが逆にこれだけの連敗を招いているとも考えられるけど、かつて帝京がそうだったように、挑んでは跳ね返される高い壁になっていることは否めない。どうやって乗り越えるのか。それを掴んだとき、また関一は更に強くなれるのだろうと思う。2013夏の敗北の直後の秋に2014センバツ切符を掴み、2015夏の甲子園ベスト4、2016世代の都大会三冠制覇と繋がっていったように。わずか数年の間に技術や戦術戦略も変わっただろうし東京や全国の勢力図も変わっている。これからの関一の変わるところ変わらないところ、どうやって強くなっていくのか。これからの関一を楽しみにしています。

 

 【試合スコア】

二 松 010 000 310  5 H10 E1

関東一   000 000 010  1  H3 E1

二 松:秋山ー鎌田

関東一:市川(8)、鈴木(1)ー石見