第4試合の開始は17時近くなり、だいぶ涼しくなってきた。1塁側のスタンドは東京高校。スクールカラーは紫で関一と同じだけど、見た感じ関一より少し濃い、和風の紫という印象。対する3塁側は日大カラーの濃いピンク。春季大会で二松を破って一躍名をあげた永見君擁する東京高校ですが、豊山には0-7のコールド負けを喫しており、期するものがあるはず。私は5回戦の共栄学園戦で初めて見たのだけど、永見君のピッチングの凄さはもちろんですが決してワンマンではない、攻守に充実したチームだと感じました。春は勝っているとはいえ、夏に強い豊山とはいえ、拮抗した試合になると予想しますが…
先攻:日大豊山
1レフト藤嶺→山田
2ショート山下→H赤羽→ショート
3ライト谷口
4センター小寺
5キャッチャー金子
6サード阿部→山本
7ファースト鈴木
8ピッチャー宮本→村井
9セカンド上田
後攻:東京
1ショート嘉川
2センター石上
3ライト佐藤列
4キャッチャー森田
5ピッチャー永見
6セカンド中村
7ライト佐藤陽
8サード石川→H星野→サード山口→H越野→サード小松崎
9ファースト関
1回表。マウンドに上がった永見君は183㎝74キロのスラっとした長身右腕。
先頭の藤嶺君は四球で歩かせますが後続は伸びのあるストレートと低めの変化球で次々と三振。2回3回もノーヒット、無失点に抑える。
対する豊山の先発は183㎝の長身左腕の宮本君。永見君ほどの速さはなく、東京打線も毎回ヒットを打ってチャンスを作りますが粘りのピッチング、バックの守りもよく、こちらも序盤は無失点。
しかし4回表に豊山は、1死から4番小寺君のセカンドへの内野安打(センターへ抜けそうな当たりでしたがよく止めた)、内野ゴロで2死2塁としたところで6番阿部君の左中間へのタイムリーヒットで1点を先制。
リードした豊山は裏からエース村井君を投入。村井君は190㎝88キロという堂々たる体格の右腕。み、みんな大きいっすね…
村井君は4回裏を4番5番6番を2三振含む三者凡退に抑え、意気上がる豊山打線は5回表には永見君にヒット4本を浴びせる集中打で3点を追加、4-0と点差を拡げる。この調子でいけばやはり豊山なのか…
しかしクーリングタイムを経た6回表。1死から四球で出たランナーの2盗をキャッチャー森田君の牽制で刺し、この回を3人で終えると微妙に風向きが変わってくる。
6回裏には3番佐藤列君が村井君から初めてのヒット。この回は無得点に抑えられましたが7回表を久々の三者凡退に切ってとると、7回裏には1死1・2塁から9番関君のレフト前タイムリーで東京が1点を返す。
8回表。流れを取り戻すべく、2番山下君がセーフティバントを試みますが永見君がナイスフィールディングで処理してこれを阻む。
そして8回裏、ショートゴロ悪送球で先頭打者が出ると、ヒット3本にエラー、押出し四球もあって東京がこの回3点をあげ、同点に追いつく。
9回は共に無得点で、試合は延長タイブレークに突入。
10回表。豊山の攻撃。先頭の1番藤嶺君は定石の送りバント、しかしこれを処理した永見君がボールを掴み切れず、ノーアウト満塁。あの時と同じ…昨夏の関東一×日大豊山でのタイブレークを嫌でも思い出す。
しかしここから永見君は2番の代打赤羽君をホームゲッツーに打ち取り、後続も断って大量失点のピンチを無失点で切り抜ける。
こうなると後攻の東京は1点さえ取れればよく、今度は豊山の方が追い詰められる。ところが豊山のエース村井君も、まずはリードの大きい2塁走者を冷静に牽制で挟殺、1死2塁(2塁ランナーが挟まれている間に1塁ランナーが2塁まで到達したため)。セカンドゴロで2死3塁まで進まれますが後続は断って無失点。
両エースが土俵際まで追い詰められながらも踏ん張り、タイブレークが続く。
11回表、送りバントと内野ゴロで豊山が待望の1点をあげる。
ちなみに昨夏私が暇に任せて調べた超いい加減なデータによると、表1点のとき先攻勝率34%、後攻勝率29%、同点になり次回持越し37%という確率だった(10回表の数値だけど)。だからまだ本当にどちらに転ぶかわからない、勝つか負けるかあいこか、宙ぶらりんの状態だと思う。
11回裏。1点を取りにきた東京はやはり送りバント、しかしこれを処理したサードのフィルダースチョイスで今度は豊山がノーアウト満塁のピンチ。
しかしマウンドの村井君はここでも踏ん張り、9番関君はショートゴロでホームアウト、続く1番嘉川君のライトフライも浅く、3塁ランナーは自重。これで2アウト満塁。そして2番井上君も平凡なセカンドゴロで万事休す…かと思いきや、ファーストへの送球が逸れ、3塁ランナーが還り同点、さらに2塁ランナーも猛然とホームに突っ込んできて生還、6-5で東京高校が延長11回の死闘を制して春の雪辱を果たし、準決勝進出を決めました。おめでとう!
すごい試合でした。延長11回を完投した永見君はもちろん、延長も含めたロングリリーフとなった豊山のエース村井君も、たいへんなプレッシャーのかかる中ナイスピッチングでした。特にタイブレークの崖っぷちを2イニングも耐え抜くのは凄すぎで、こんなことあるのかと思ったくらい…そしてそういう好投手たちを両チームの打線が良く打ったし守備も懸命に支えてた。本当にお疲れさまでした。
勝った東京高校は準決勝で第1シードの帝京と対戦。永見君&バックの堅守、派手ではないけどここまでロースコアの試合というのがなく(昨夏優勝の共栄学園をはじめ、実力校相手に全試合5点以上取ってる)、着実な得点力も見せている東京高校がどんな戦いを見せてくれるのか、東東京の高校野球ファンとしてとても楽しみです。
【試合スコア】
日大豊山:000 130 000 01 5
東京高校:000 000 130 02x 6
日大豊山:宮本(4)、村井(7 2/3)ー金子
東京高校:永見ー森田