プレイボール2 第2話 意見の違い

第2話です。

いろいろ違うなと思うところはあれど、仕方ないよね。これは商業誌連載だけどコージィのプレイボール同人だと思えば、これほど贅沢なものはない。

 

【あらすじ】

他の部員達も不審げに見守る中、テストを開始する谷口と倉橋。イガラシと井口を並べ、それぞれが交代で二人の1年生の球を受けるのだ。二人の球を受け比べると、井口の方が重く、イガラシはキレがある。球速は甲乙付け難い。どちらを第3の投手として組み込んでいくか――谷口は部室での倉橋との口論を思い起こしていた。

 

井口の素材の良さは認めつつも、夏の公式戦までに使えるようにするのは難しいと主張する倉橋は、井口起用案を引っ込めない谷口に苛立ちを募らせて、井口とイガラシをテストしようと言い出す。谷口が注目したサウスポーという要素より、倉橋は二人の性格の違いを重く見ているのだ。そして、4人の投手までいてもいいと考える谷口に対して、4人目まで鍛えている暇はないと切り捨てる倉橋。久しぶりに気まずくなるほどの意見の食い違いだった…

 

キャッチャーを座らせての投球テストの後、倉橋はバッターを置いての投球を命じる。バッター役に呼ばれたのは松川と丸井。イガラシのところには丸井、井口の方には松川が入る。二人とも、それだけでは投球が変わったりはしない。が…

バッターを入れ替えると、長身の松川から小柄な丸井になったことで井口は途端にコントロールを乱す。ストライクを取ろうとすると明らかに置きにいった球、思い切り投げるとボールばかり。内心嫌気がさしてしまう井口。

ここで倉橋は、井口のイラつきを指摘すると同時に、硬球に手がついていないことから軟球を握っていることも見抜き、意識の低さを叱責する。ところが、長身の松川から「的が小さい」丸井に代わったことで井口がイラついた、という部分を聞きとがめた丸井は、井口の方に怒りを爆発させ、勝負しろと言い出す。思わぬ丸井の剣幕に、井口はもちろん、井口を散々にやり込めていた倉橋までもが慌てる中、谷口だけは勝負してみろと言うのだった。

次なる勝負は守備もつけての井口対丸井。10球ストライク中3本ヒットを打たれたら、井口の負けだ―

 

 

【感想】

うーん、引きは凄くて、どうなるのか次号がたのしみ。これはこれで面白い。ただ、やむを得ないことですが、いろいろと違和感とか物足りない点はある。違うなと思う中でひとつ、原作「プレイボール」より安心できるのは丸井の性格だったりします。

 

 

まず、イガラシと井口の球速が甲乙つけ難いというのは凄ーく違和感がある。球速でいえば、井口≧近藤>イガラシ で、イガラシの投手としての本領は別のところにあるとずっと思ってきたので。考えられるとすれば、井口が硬球に慣れていないということか。しかしイガラシは入学そうそう野手専任で行くと決められて、投球練習はしていないはずなんだけどねえ。

イガラシの球が軽い軽い軽い軽いってのは原作でも散々言われてることだし、谷口はイガラシの投球は中学時代にチームメイトとして見てるし、井口とはバッターとして対戦しているんだから、「井口の球の方が重い。イガラシはキレがある」なんて今更そんな、初めて見たみたいなありきたりの評じゃなくてさぁ…「当たり前だけど中学時代より速さもキレも増してる」とか「最初打ったときも手が痺れたっけ。高校生としても重い球だよな」とか、そういうくすぐりが欲しいわけですよ。

 

 

次に、井口の投手陣組み入れに猛反発する名参謀・倉橋。

倉橋は中山さんたちとは何度か揉めてたけど、谷口の方針に明確に異を唱えたことは記憶にないし、先輩たちとの間で揉めたり怒ったりしたのも、相手に真剣さが欠けていたり、歯に衣着せずに言った言葉が先輩たちの怒りに触れて、みたいな成り行きであって、意見が違うだけで怒っちゃう奴とは思ってなかったんだけどな。ましてや谷口相手に。

井口のちゃらんぽらんさがそんなに嫌なのか?まあ確かに、入部して即、田所先輩たちのいい加減さが嫌になってバックレた奴だしな。やる気のある者同士で頑張るのは好きでも、意識低い奴には関わりたくもない、というタイプなのかもしれない。しかしいくら有望1年生が沢山入ったとはいえ、やる気があって優秀な部員が幾らでもいる名門校とはわけが違うんだから、より上を目指すなら使えるものは使わないと。

この点では、「キャプテン」の近藤入部時のレギュラー候補テストの際の丸井とイガラシの態度に通底するものがありますね。とすると、キレた丸井が井口に勝負を挑むところは原作オマージュなのか(笑)損というかアレな役回りだけど、まさか倉橋にそこまでさせるわけにもいかんしね。

 

 

そして個人的に一番気になるのは、ここまで引っ張り出されてるイガラシにまともなセリフやモノローグが殆どないということ。これからあるのかもしれないけど、この奇妙なシチュエーションで、ここに至るまでただ言われるままに投げてるだけって、そんな受け身はイガラシじゃないやい!

 

 

【今後の予想】

井口はここでは丸井との勝負に負け、同時に倉橋のテストでも負けたことになり、第3の投手はイガラシになる。しかしこの一件で井口の意識も変わる。井口の素質を一番良く知っているイガラシの協力で、陰の努力により投手として一段の成長を遂げた井口(注)は、第4の投手として投手陣に加わることとなる。

そういえば丸井との勝負、この状態では倉橋にキャッチャーやらせづらいよな…控えキャッチャーの誰かじゃつまらないし、イガラシがやってくれたら面白いけど当事者だし、やはり無難に谷口が務めるのでしょうか。

 

(注)今号は連載のすぐ後ろに、キャプテンファンとして知られるイチローのインタビューが掲載されている。このインタビューの最後の方で、谷口たち墨高が甲子園出場を果たすことができるか、と訊かれて「僕らが公立に負けるってことですよね。それはないでしょう。よっぽどいいピッチャーがいなければ難しいと思います。でもすごいピッチャーがいたらあり得ますよ。とんでもないピッチャーがいたらね。」と答えている。前半部分、ファンのくせにずいぶんシビアでいらっしゃる…「僕ら」というのはイチローの出身校である愛工大名電のような強豪私立のことで、作中で言えば谷原がそれにあたるだろう。ここまでになる可能性を秘めた投手といえば、現時点ではやはり井口しかいないと思われるのですが、さて、いかに。

 

【追記】

第4話であまりの違和感に雑誌を買うのをやめ、その後も違和感は解消されることがなかったので連載を読むこともやめ、コミックスも買っていません。おそらくコージィ城倉はちばあきお描くところの谷口やイガラシは理解できないというか、絵空事のように感じて共感できないんだと思う。私からすればそこが一番の魅力なのですが。『意見の違い』に過ぎないって言われるかもしれないけど、コージィの旧作キャラの解釈と表現は間違っていると思うし、間違いの程度と方向性は私の受忍限度を超えている。

というわけで、このブログで取り上げるのも4話で終わりです。