20110402 春まだ浅い@神宮第二

震災前、西武第二球場に西武×横浜の教育リーグを観に行って以来の野球観戦は、神宮第二の春季東京都大会1回戦。

第1試合は安田学園×世田谷学園。サウスポーの鮎田君、右サイドの荻田君という好投手を擁する東東京のチーム同士の好カード。関東一は安田には昨夏に3-1のスコアで辛勝、世田谷には昨秋に3-4で敗れている。

試合は安田学園が2回に先制しますが、世田谷学園もすぐに追いつき、4回5回、連打に積極的な走塁を絡めて2点ずつを奪って5-1のまま終了、荻田君も2回の1失点のみ、100球足らずの完投勝利でした。

昨秋見たときは、走塁はあまり印象に残らなかったんだけど、外野守備を見て一気に3塁まで進むあたりや3盗2回には目を見張りました。凄いなあ。後半は、ホームスチール(さすがに失敗)などいろいろやろうとしたのと、鮎田君も立ち直り、安田の守備も粘りが出てきたのとで、追加点は取れませんでしたが。

世田谷学園の荻田君は打たれたヒットは2回に野嵜君に打たれた3ベースのみ、9奪三振の好投。止めようとして止められなかったスイングでの三振が幾つかあったのが印象的でした。「あっっ、しまった…」みたいな。何故か1番の田中君には投げにくそうにしてましたが、基本的にはストライク先行でどんどん強気に追い込んでいくところは昨秋と変わらない感じ。グラウンドもスタンドも元気があり(オレンジのハチマキなびかせた応援団長さんが、最初のスタンドへの挨拶で、震災被害からの復興を祈ると言っていたのも印象に残りました)、次戦の相手は帝京だそうなので、どんな試合になるのか、見られないのが残念です。

安田学園は、シートノックのときの動きから、ちょっとキレがないように見えて、調整がうまくいかなかったのかもしれないと感じていました。ただでさえ、春先の大会の初戦、しかも今年はシーズンの始まりとほぼ同時に震災が起こり、練習試合が軒並み中止になったのは勿論、学校の方針やチームの状況によっては、普段の練習もままならないチームも多いと聞きます。安田が攻守にやや精彩を欠いたのもそのためなのかもしれませんが、それでも終盤に入るとグラウンドにもスタンドにも、元気が出てきていたような気がしました。夏にはまた、見違えるようなチームになっているんだろうな。

第2試合は明大明治×創価明大明治はなんと、チアが登場!!しかしジャージにウィンドブレーカー……これも自粛の一環なのか。試合の方は、明大明治の先発・長身右腕の平野君の立ち上がりを突き、ホームラン2本も飛び出した創価が1回5点、2回3点を先取しほぼ試合を決めてしまう。明大明治も中軸を中心に打力はあったと思いますが(特に3番の佐伯君は4打数3安打のうち2塁打2本、のこりの凡退もライトの好捕でアウトになりましたが良い当たりでした)、手堅く送るとか足を使ってチャンスを拡げるとかいう状況でなくなってしまったのが辛かったかな。それでも14-1でコールド目前で迎えた6回裏、創価の2番手岩崎君からは連打で4点を奪い6回コールドは阻止。結局両チームともそれ以上点は入らす、14-5の7回コールドで終わりましたが、不思議とドキドキする試合でした。

帰り際、入り口のところのテーブルを見ると、朝は確か置いてなかった募金箱が、約束通り置いてありました。

不自由があっても不安があっても、野球ができること、見られることはそれだけで幸せなこと。東京でも、一次予選の中止で春の大会のないまま夏を迎えるチームが大半になっている。まして、被災地のチームは、生活を立て直す、いやその日その日を生きるだけで精一杯なのかもしれない。でも、なかなか目には見えなくても、昨日よりは今日、今日よりは明日、少しずつ季節は前には進んでる。3ヶ月後、日本がどうなっているのか、誰にもわからないけれど、すべての球児に等しく夏が訪れますように。