20180504 春季埼玉県大会決勝 花咲徳栄×浦和学院

定番…鉄板…いろいろ表現はあると思いますが、またもややはり、やはりまたもや。

いつもなら、春だし、関東大会も決まっているし「今日はま、いいか…」となるこのカードですが、今年は昨夏全国制覇を成し遂げ、新チームになってからも県内無敗を誇る徳栄を、夏秋と決勝で連敗中の浦学が今度こそ止められるか!?という興味、そして夏は南北埼玉に別れて戦う現チームの対戦はこれがおそらく最後(春関や甲子園で、という可能性もゼロではないけど)、ということもあって、今日も県営に出動。

朝まで雨で、開催も危ぶまれた昨日の準決勝と違って、最初から晴天に恵まれた今日はかなりの人出。入場はすんなりできたけど、なんだかどんどん席が埋まっていく…

両校校歌をバックにシートノック。そうそう、そういえば、夏の南北埼玉大会の選手宣誓は、この試合勝って優勝したチームの主将が務めることになるそうですね(これは毎年の東西東京大会と同じ方式)。例年の埼玉は、抽選会で「第XX会大会」のXXの抽選番号を引いた主将が務めるので、逆に言うと春優勝チームの主将がやることは絶対ないわけですが。この手法は前回の90回記念大会も同様だったようで、次回以降はまた元に戻るんだろうけど、今の加盟校数は県高野連のHPで数え得ると164校。連合チームもあるのでチーム数はもっと少ないし、これから更に減少していくと考えられるので、どこかで現行の抽選番号方式を変えることになるんだろうな。まだ暫く余裕はありそうですが。

などと暑さもあって取りとめもないことを考えながら、ボーっと眺めているうちにノック終了。今日は徳栄が先攻です。

先攻:花咲徳栄

1センター橋本

2レフト杉本

3ショート韮澤

4サード野村

5ファースト羽佐田

6セカンド倉持

7ライト井上

8ピッチャー和田→H池田→ピッチャー岩崎→斉藤

9キャッチャー田谷野

昨日の準決勝でエースの中田君が先発しているので、今日は背番号15の左腕和田君が先発。当然継投もあるでしょうが…

後攻:浦和学院

1ショート中前

2サード矢野

3ライト河北→レフト→ピッチャー→レフト

4キャッチャー畑

5センター蛭間

6ファースト坪井→H小町→ファースト

7レフト荒木→ピッチャー下薗→H後藤→セカンド

8ピッチャー近野→H上野→ライト

9セカンド阿部→ピッチャー永島

こちらは準決勝で山村学園を完封した河北君がライトに入り、準々決勝で市立川越を完封し、準決勝では登板のなかった近野君が先発。

初戦の川越東戦こそ辛勝だったものの、3回戦の所商戦を始め、圧倒的な大差で勝ち上がって来た徳栄に対して、佐野君・渡邉君という左右のエースを故障で欠きながら、準々決勝の市立川越、準決勝の山村学園と、いずれも僅差の完封勝ちで降してきた浦学。

徳栄の打力か?浦学の投手力か?がもちろん一番の注目なわけですが、その裏で、得点力に不安のある浦学打線が徳栄投手陣からどれだけ得点できるか、も気になる。徳栄打線を完全に抑えるのはさすがに難しいだろうから浦学としては僅差で競り合って終盤勝負がいいんだろうけど、ここまでの徳栄の失点も多くてせいぜい2~3点。でも、競り合うにはたぶん、もう少し点が必要だろうからだ。

ギッシリ埋まったスタンドが見守る中、現チーム最後の「埼玉」決勝の試合開始。

初回は1回表終了後に、「外野開放します!」というアナウンスが流れたりもしますが、試合自体は双方三者凡退と静かな滑り出し。

しかし2回表、徳栄の先頭、4番の野村君が初球を叩いて右中間への2ベース!!本当に凄いなー野村君は。見る試合見る試合、いっつも打ってるもんな(汗)続く5番の羽佐田君のセカンドゴロ(抜けそうな当たりでしたが阿部君が良く捌いた)の間に3塁へ。そこから6番倉持君、7番井上君の連続2ベースで、徳栄があっさりと2点を先制します。1イニングで2塁打3本とか(汗)徳栄の打撃はやはりもの凄く、結局この回以降、浦学は毎回のランナーに苦しむことになります。

それでも3回表、2死からの連打で迎えた1・2塁のピンチを切り抜けると、その裏には先頭・7番荒木君のライトフェンス直撃の3ベースから連続四球でノーアウト満塁の大チャンスを迎え、打順は1番の中前君。徳栄としては逆に大ピンチでしたが中前君をセカンドゴロダブルプレーに打ち取り、1点は失ったものの2アウト3塁。これで徳栄はだいぶ楽になったはずですが、和田君の制球は未だ定まらず、2番の矢野君にも四球、更に3番河北君の打席で矢野君が盗塁成功、2死とはいえ2・3塁と、逆転のランナーを得点圏に置いてしまいます。ここで河北君はセカンドの頭上をライナーで越えるタイムリーヒット、3-2と浦学が逆転します。

しかしさすが徳栄、直後の4回表、先頭の6番倉持君が緩い変化球を打って野手の間に落ちる2ベース、マウンドの近野君も連続内野フライで2死まで漕ぎつけますが、9番田谷野君、1番橋本君の連続2ベースで4-3と再逆転!

点の取り合いの様相を帯びてきた前半戦でしたが、4回裏に徳栄は背番号11のサウスポー岩崎君、5回表には浦学も背番号14のサウスポー下薗君にピッチャー交代すると、少し試合が落ち着く。

岩崎君は交代直後に浦学の4番蛭間君にショートへの内野安打を許した以外、6回までを内野ゴロに打たせて取るピッチングで完璧に抑え、一方の下薗君も、5回6回は2ベースやら連続四死球やらでピンチを迎えるものの、いずれも2死からだったのが幸い、無失点で凌ぐ。

試合が再び動いたのは7回表。1死から4番野村君、5番羽佐田君の連打で1死1・2塁のチャンスを作ると、6番倉持君がライトオーバーの2ベースを放ち、1点を追加!5-3とします。しかし倉持君、今日2ベース3本ですぜ(汗)尚も1死2・3塁のチャンスが続きますが、ここは下薗君が踏ん張り、8番井上君のピッチャーへの打球に良く反応して3塁ランナーを挟殺、続く岩崎君も三球三振に討ち取り、1失点で凌ぐ。そうは言っても終盤に来ての失点は痛かったと思いますが…

ところが7回裏。今日は途中出場の6番小町君がライトオーバーの2ベース…かと思いきや、2塁を蹴って一気に3塁へ(良く見えなかったけど、埼玉県高野連HPの記録を見ると2塁打になっているので、外野の打球処理にエラーがあったのかも)!!続く代打の後藤君のセカンドゴロの間に小町君が生還、浦学が再び1点差に詰め寄る。3塁まで行ったのはタイミング的に結構危なかったような気もしましたが、8番9番は凡退でしたから、2塁止まりだったら無得点に終わった可能性が高く、3塁を陥れたことが結果的にこの回の得点、そして勝敗そのものにも大きな意味を持ったことになります。

8回表、代打を送られた下薗君に代わって河北君がマウンドへ。

河北君は先頭の田谷野君を三球三振!続く橋本君はセンターへの良い当たりでした蛭間君が飛び込んでキャッチ!2アウトとしたところで何と、再びピッチャー交代で、マウンドには背番号11の永島君が上がります。たぶん、田谷野君橋本君が右バッター、次の杉本君韮澤君が左バッターだから…ということなのだと思いますが、今日の河北君はライト→レフト→ピッチャー→レフトと忙しいことこの上ない。ともあれ、永島君も杉本君をセカンドライナーに打ち取り、初回以来の三者凡退となる。

8回裏、徳栄もこの回から3人目、背番号10のサイドスロー斉藤君がマウンドに上がります。斉藤君は、1死から2番矢野君にセンター前ヒット、続く河北君も3塁線の鋭い当たりでしたが野村君がこれを好捕、4番畑君もレフトフライに打ち取り、無失点で凌ぐ。

9回表、徳栄は打順良く(と言っても余り意味はなさげですが、徳栄の場合…)3番韮澤君から。

韮澤君はレフト前に抜けるヒットでノーアウト1塁。ここでバッターボックスには4番、今日も4打数3安打の野村君です。徳栄としては1点差で9回裏を迎えたくはないし、何としてもあと1点欲しい場面。打席の途中で攻撃のタイムが入り、何事か指示があったようですが、野村君はショートゴロゲッツーに終わり、2アウトランナーなし。それでも続く羽佐田君はセンター前ヒットで再びランナーを置きますが、後続はなく無得点で1点差のまま9回裏へ。

浦学の攻撃は5番の蛭間君から。ここで一発出れば同点なんだよな…とかバッターボックスでの後姿を見ながら思ってたら、本当に!初球を!バックスクリーンより少し左側、センター深いところへのホームランでした。ついに、キャプテンの一振りで追いついた浦学。いやまさか、本当に出るとは!!流石です。

と言っても試合は振り出しに戻っただけ。ホームランなのでランナーはいないし、ここまで浦学の倍のヒットを放っている徳栄の攻撃力を考えれば、この後さえ抑えれば、優位な状況は変わらないはず。

しかしやはり動揺があったのか、続く小町君を四球で歩かせると、2死まで漕ぎつける間にヒットと四球で満塁、最期は2番矢野君に2ボールから死球を与えて押出しという幕切れで浦学が6-5のサヨナラ勝ち、春季埼玉県大会優勝と昨夏昨秋の雪辱を果たしました。

おめでとうございます。

お互いいろいろ制約がある(or自ら設けた)中での試合だったとは思いますが、さすが埼玉の両巨頭の戦いでした。一進一退のシーソーゲームとは言いながら、内容的には徳栄の14安打に対し浦学の7安打と、徳栄の方が終始押していたし、打撃力というのは本当に凄かった…どうしてあんなにバカスカ打てるんだ??

それでも浦学の投手陣&守備はその猛攻に耐え抜き、打線も少ないながらも決定的なチャンスを作り出し、確実にモノにしていた。逆に徳栄は長打がバンバン出るだけに(2塁打8本)、繋ぐとかランナー進めるという意識が希薄…あるいはそういう意図がそもそもない試合だったのかもしれません。それでも四死球が守りのミスが絡めば自然と大量得点が生まれていたのでしょうが、浦学はこの試合ノーエラー、四死球も6回2死からの2つだけ。ビッグイニングは作らせませんでした。

ともあれ、これで埼玉の春も終わり。浦学も徳栄も関東大会頑張って下さい!

夏に万全の状態での両チームの対戦を見られないのが少し残念だけど、その一方で、この両校の牙城を崩すチームが(それが容易なことではないだけに、だからこそ)出てきて欲しいとも思う。あと2カ月、どのチームも怪我なく、悔いなく、夏を迎えられますように。